中盤では“自己肯定感”をテーマに、今年10月、プロレス団体・ノアの両国国技館大会で解説を担当し、インターネット上で賛否両論あった話題へ。その場でマサ北宮から「てめえなんか帰れ!お前なんか新日本プロレスだろ!出ていけ」とマイクで浴びせられたと語り、そしてこう続ける。「正直な気持ちをいうととても気持ちよかった。でも俺の自己肯定感のピークはそこじゃない。」と話し、試合後に挨拶に行くと、マサ北宮がトーキングブルースの大ファンですと言われたと話すと会場は笑いに包まれた。そして自己肯定感のピークはその日の夜中に訪れたと語り、「マサ北宮から『おい古舘伊知郎!昔の話なんか関係ねえから、今の情報をちゃんと組み入れて新しいプロレスに対応しあがれ馬鹿野郎!』とXに投稿していて、明らかに屈折したラブコールを送られて、そこが自己肯定感のピークだった。」と話すと爆笑と拍手が巻き起こり、会場は一体感に包まれた。

そして公演はそこで熱量を落とさず、勢いのまま社会課題へ切り込む。「持続可能な再開発じゃない。持続可能な乱開発なんだよ。」象徴として“渋谷”を持ち出す。「毎回地下を歩くと迷う。上に出ても高層ビルが林立して、ずっと工事やってる。実は工事やってなくてプロジェクションマッピングなんじゃないかと思う」と古舘らしい皮肉をいうと、会場は大きな爆笑に包まれた。さらに本質を突く言葉の鋭さが増す。「“問題”って言葉がついたら予算がつく。予算がついたら利権が生まれる。だから“問題”は解決されないほうが持続可能なんだよ」。この言葉に客席には深くうなずく空気が広がる。

そして公演のクライマックスは、ぜひ会場に足を運んで確認していただきたい。古舘が放った最後の一言は、それまでのトークを収束させ、見事に一本の線に繋げる。照明が落ち、暗転。観客は深い余韻に包まれ、この夜の公演は静かに幕を閉じた。

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