本作で特に目を引くのが、ホラー作品には珍しい“神様”の存在だ。この設定について監督は、「幽霊のような存在も考えたのですが、日本人と海外の人との感覚の違いで、海外の人は神に見捨てられることを恐れますが、日本人は神様に“見つかる”ことを恐れる、という話を聞いて、確かにそうだと思った。」と語る。

さらに、危害を加えないのに“ずっと付いてくる”という異質な神様の設定については、「ホラーだと幽霊は襲ってくる設定が多いと思うのですが、実際に取りつかれたら(幽霊は)何もしないんじゃないかと思って。<ただいるだけ>でもストレスかなと考え、そのような存在として描きました。」と、“ただそこに居ることの怖さ”を狙ったという。

もともとホラー作品が好きだというコウイチ監督は、ホラーというジャンルを、「ホラーは新しいことにチャレンジしやすいですし、どの角度で怖がらせるか、ちょっと大喜利のような部分がある。すごくクリエイティブなジャンルだと思っています。」と、ホラーの魅力を語る。また、普段は短編作品を手掛ける監督に、今回初めて挑んだ長編作品の魅力について尋ねると、「長編はいろんな軸を入れ込むことができると思うんです。短編は1発アイデア勝負でどう見せるかみたいなものが試されると思うのですが、長編は物語がしっかり描けるところが魅力だと思います。今回であれば神様にずっと取り憑かれる話と、高校生が学費を稼ぐなど、キャラクターの物語をしっかりと加えることができました。」と、短編作品では描ききれない物語の広がりを実感したという。