ティーチインのトップバッターは、なんと中野監督自身。「現場で集中力がすごいなと思っていて、役づくりへのアプローチの仕方を教えてほしい」と満島に質問すると、満島は、「最近色々な人と話している中で、人と違うのかなと思うのは、解釈が深くなるので、脚本は結末から登場人物全員の最後のシーン・最後の台詞からさらっと読むところです。」と、独自の脚本の読み解き方を明かす。さらに、「そのあと頭からじっくりと、本当に自分がその場にいるような気持ちでしっかりと読みます。そのあとはほぼ読まずに、台本から感じたなにかを、撮影までになじませていく作業になります。例えば、今回は、多賀城に着いた後は、街をたくさん歩いてこんなところに看板があるのかとか感じながらなじませていきます。」と答え、そのアプローチに中野監督も驚いた様子を見せた。

その後、お客様からのティーチインがはじまり、本作をこの日初めて見た男性から、「良一と一緒に骨を拾うシーンと、良一に一緒に暮らそうというシーンが好きだったが、どんな気持ちで演じましたか?」と質問が飛ぶと満島は、「良一君とのシーンはどれもとても難しくて、特に骨を拾うのは日本独特の文化だそうで、世界の色々な人から不思議だと質問を受けました。」と振り返る。さらに、「(骨を拾う際に良一の箸の持ち方を直すシーンにおいて)監督も箸の持ち方にこだわっていて、自分が育てきれなかった子供に箸の持ち方を教えていいのかどうかの葛藤が一瞬あるだろうなと思いつつ、良一が一番好きだったはずのお父さんの最期だからちゃんと教えなきゃとも思ったり。でもあの場面は、味元くん(良一役)が良一そのままで立ってくれていた場面なので味元君と作り上げました。」と、その時の心境を明かした。