さらに各界の著名人からの推薦コメントも到着!
「日本」だとか。「日本人」だとか。「外国人」だとか。「国」だとか。
今日まで一体、誰の話をしていた?
この映画では、名前を呼んで、問いかける。
何度も繰り返し、名前を呼んで、問いかける。
そんな当たり前の事を、もう忘れたくないと思った。
今も閉ざされたままの、その人がいる。
響きの異なる名前を持った、私たちがいる。
――折坂悠太(シンガーソングライター)
日本に生まれ育ったふつうの女の子が、犯罪者のように扱われることの理不尽。怖さ。絶望。そんなの、なにかがおかしい。間違ってる。登場人物たちが自分の心で気づくように、観客ひとりひとりが、気づくだろう。おかしいのは、悪いのは、彼女じゃない。間違っているのは、彼女が未来を夢見ることを禁じる、日本の法制度の在り方なのだと。
――中島京子(作家)
人間と人間とを隔てるものは何なのか。
本当にそんなものがあるのか。
それを設けてラクをするのは誰か。
それに苦しめられているのは誰か。
乗り越えた先の人間と人間の結束がたくましい。
――武田砂鉄(ライター)
本編の終わり近く、文子の書く脚本の一場面として、
入管の面会場面が描かれる。
文子演じる面会者は二人を隔てるアクリル板を壊し、
二人はそこから逃げ出す。
制止する入管職員はおらず、現実離れしたシーンだ。
しかしそう思った瞬間、気づかされた。
アクリル板を壊してはならないものと思い込まされているように
社会の法やシステムは不変不可侵のもののように
多くの人が誤解している。
不条理に苦しむ隣人の涙に気づく人が増えれば、
それを壊して作り直せるのだと本作は静かに、力強く伝える。
フィクションの力、想像をとめないこと。
表現者としての監督の、スケールの大きさを感じさせる力作。
――寺尾紗穂(音楽家・文筆家)