また、ディランが音楽シーンで名を挙げていく青年期には、その運命に大きな影響を与えていく2人の女性とのロマンスも欠かせない。エル・ファニングが演じたシルヴィ・ルッソ(当時の実在の恋人、スージー・ロトロがモデル)は、一人の無名な若者だったディランと寄り添い、まるで初恋のような淡いラブストーリーを紡いでいく。ディランにとって、ヒットを飛ばし大スターとなっても変わらない心のつながりを感じさせてくれる大事な存在だ。ファニングが「二人の関係はとても美しいんです。なぜなら、彼のスター性が高まる中でも、彼女は彼を愛しているからこそ一緒にいたいと願う。彼女は華やかさを必要としなかったし、型にはまることもなかった。とても自分らしく、自分自身の感覚に確信を持っているんです」と語っているように、社会の波に翻弄され、葛藤していくディランの物語が展開していくなかでもシルヴィとのシーンは安らぎに満ちている。シャラメも「エルとは長い付き合いだから、とてもありがたかった。ボブとシルヴィには初恋が持っている、長い付き合いのようにさえ感じられる特別な親密さがある。」と共演に感謝し、さらに「この初恋を、ボブは今日に至るまでとても大切にしている。マンゴールド監督の脚本を読んだボブの唯一の要求は、彼女(スージー)の名前を(シルヴィに)変えることだったほどだから」とこの関係を表現するための感情を得る、貴重なエピソードも明かしている。