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塚田万理奈 ─ 子どもたちの未来は、光 ─

現在、10年をかけて子どもたちを16mmフィルムで撮影していく長編映画『刻』に取り組んでいる塚田万理奈監督。その『刻』の製作過程から生まれたオムニバス映画『満月、世界』が、9⽉21⽇よりユーロスペースほか全国順次公開される。

監督に今作について、主人公の二人について、語ってもらった。


─ 現在、撮影中の『刻』とはどんな作品でしょうか?

私が中学生の頃から大人になるまでの、私と周りの人たちに起きた出来事をモデルにして、子どもたちが大人になるまでの10年ぐらいの話を脚本にしました。

撮影のときに、大人役、子役と分けるのは映画のためで、偽物というかエンタメなのがいつも悔しいと感じていました。多くの監督も、どう本物に見せるかを試行錯誤してきていますが、私もそれを考えた時に、1人の人間に1人の人生を任せてみたいなと思い、実際の中学生の子どもたちに1人1役を任せて、10年ぐらいかけて少しずつ大人になるまでを撮影する長期プロジェクトをやろうと始めた作品です。

─ 多くの作品を撮るのではなく、長期撮影の作品に挑戦されたのはなぜですか?

私は映画監督としてやっていきたいというよりも、撮りたいものが撮りたい。撮りたいものを撮ることができれば良くて、それがなくなったら撮らないだろうなと思うんです。

前の作品を公開した時に、中学時代の同級生たちが映画館に観に来てくれて。その時に10年ぶりぐらいに再会をして、みんなの人生がどうなったか、自分が気になっていたあの子はどうなったのかを知りました。そんなきっかけで自分の過去を振り返って書いた脚本を、撮ろうと思ったんです。

映画監督として撮り続けたいとか、短編を撮りたい、長編を撮りたいというビジョンはなくて、撮りたいものがあったらそれが撮りたい、という感じです。

─ リアルというか、ドキュメンタリーのように撮りたいという想いがあったのでしょうか?

作品自体はドキュメンタリー要素はないんです。でも、子どもたちがどう成長していくかによって、役の表情や脚本自体も変わっていけば、役と演じる人というのがより本物の人間を作っていけるんじゃないかと思って。1人の子どもの人生と一緒に役が生きていけばいいなと思い撮影しています。

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