2026年、野田秀樹率いるNODA・MAPが2年ぶりの新作舞台を上演する。その名も、『華氏マイナス320°』。

知的にして不敵なまでに観客の妄想力をざわつかせる、野田からの挑戦状のようなタイトル。作家 レイ・ブラッドベリが1953年に発表した『華氏451度』はディストピアSF小説だったが、この『華氏マイナス320°』なる戯曲は、野田曰く……「正しくない科学に基づいた、正しくないSF(サイエンス・フェイクション)」 ……だという。
舞台のはじまりは、とある化石の発掘現場。そこでは久しぶりにさまざまな化石の骨が次々と発掘されるものの、発掘チームは目もくれない――そう、彼らが捜しているのは、「謎の骨」なのだから――この「謎の骨」の「謎」をめぐって、物語は現代から中世、さらには古代をも往還していく。果たして「謎の骨」の正体とは……?
前代未聞の豪華キャストが集結!

まずは、阿部サダヲ。2021年の番外公演『THE BEE』(原作 筒井康隆「毟りあい」)以来、5年ぶり5度目の参加となる阿部。その繊細かつ豊かな身体性を誇る演技で観客を魅了してやまない阿部が、本作でどんな姿を見せるのか。そして、広瀬すず。22年の「『Q』:A Night At The Kabuki」ロンドン公演の劇評で「彼女が舞台に出てくると、観客は目を離せない。どんな演出の『ロミオとジュリエット』であってもきっと素敵なジュリエットを演じてくれることだろう。」(Lost in the Theatrelandより)と評された広瀬。2作目の舞台出演に期待が高まる。さらに、深津絵里。1997年の『キル』以来、過去6作(出演8度)に出演。その数を見ても、野田がその表現力に絶大な信頼を寄せていることが分かる。『エッグ』以来、実に14年ぶりとなる新作で、野田は深津にどんな新しい役を託すのか、楽しみでならない。しかも、広瀬と深津は本作で初の共演が実現するのだから話題必至だ。
この3人に、大倉孝二、高田聖子、橋本さとしという、歴戦の経験に裏打ちされた比類なき猛者たちが絡み合う。常に特異な存在感を放つ大倉は、2023年『兎、波を走る』における怪演も記憶に新しい。シリアスからコメディまでジャンルを問わず圧倒的な演技力で知られる高田は、実に15年ぶりのNODA・MAP作品に。やはり数多の作品で盤石な演技を見せる橋本は、広瀬と同じく「『Q』:A Night At The Kabuki」(再演)以来4年ぶりのNODA・MAP参加となる。この上に、重鎮・橋爪功が登場。『フェイクスピア』に続いて5年ぶりのNODA・MAP参加となる御年84歳の大ベテランが演じるのは如何なるキャラクターか? また、川上友里がNODA・MAPに初出演。舞台を中心に数々の映像作品でも活躍中の川上が担う役割とは? ここに野田秀樹を交えた9人の実力派俳優が一同に会する化学反応は絶対に見逃せない。さらに、野田戯曲の演出には欠かせない16名のアンサンブルキャストが縦横無尽に時空をかけるSF(サイエンス・フェイクション)を彩っていく。
『華氏マイナス320°』は 4月10日の東京初日を皮切りに、北九州、大阪にて公演。さらに、英語タイトルを『-320°F』(読み:Minus Three Twenty Fahrenheit)として、7月、ロンドンはサドラーズ・ウェルズ劇場で公演を行う。
正しくない科学に基づいた、正しくないSF(サイエンス・フェイクション)によって、野田が提示する新たな劇世界とは!?