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巨匠・黒澤明のもとで数々の名作の助監督を務め、黒澤監督の遺作脚本『雨あがる』(00)にて監督デビュー後も人間の美しい在り方を描いてきた小泉堯史監督。新作の『雪の花 ―ともに在りて―』は、吉村昭の小説「雪の花」を原作に、江戸時代末期に猛威を振るった疱瘡(天然痘)に立ち向かう人々を描く本格時代劇。熟練スタッフ陣と共に作り上げたワンシーンワンカットが基本のフィルム撮影による画作りも見どころとなっている。
今作で百姓の娘・はつを演じたのは、舞台「アルプススタンドのはしの方」(21)、映画『言えない秘密』(24)、テレビドラマ「ダブルチート 偽りの警官」(24)などに出演し、2024年4月からは、おかあさんといっしょ宅配便「ファンターネ!小劇場」でうたのおねえさんも務める三木理紗子。今作でも得意の歌唱力を活かし、紙漉きの際に歌われる民謡に挑戦した。そんな彼女にお話を伺った。
心の強い子
─ 初めての時代劇はいかがでしたか?
着慣れない和装での参加だったので、座り方や立ち方、姿勢を強く意識しました。事前に映画や本などの資料をいただいていたので、それを元に勉強をして臨みました。
食事のときなども着物でずっと過ごしていて、慣れない感じはあったのですが、撮影を重ねていくと自然と慣れていったような気がします。
─ 今作で演じた「はつ」は、三木さんからみてどんな人物ですか?
はつは、顔に病のあとがあってコンプレックスに思っているのと、自分の周りがみんな亡くなってしまい、自分だけが生かされているという絶望的な状況なんです。けれど、そこから生きていく希望を見つけて力強く前に歩んでいく、とても心の強い子だなと思います。
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