見たことのない柴咲コウを ▼以下、結末に関する言及があります

─ 柴咲コウさん、満島ひかりさんと組んでみていかがでしたか?

なかなか刺激的でした。柴咲さんとはもちろん一度やってみたかったというのもありますが、役としては普段の柴咲さんから少し離れているけれど、きっとできるなと思ってキャスティングをしました。そしたら本当にいろいろな面でアプローチしてくれて、髪も理子に寄せるために切ってくれたんです。新しい柴咲さんなりの理子、という役ができたと思います。

最初に「今までに見たことのない柴咲さんを撮りたいです」って宣言したんですよね。僕がそんなことを言ってしまったから、柴咲さんもきっとそういう自分を見せようとたくさん頑張ってくださった。結果的に、見たことのない柴咲さんを撮ることができてよかったです。

(C)2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会

逆に満島さんは、ぴったりな役だなって思っていて、あとはその役を満島さんなりにどう演じてくれるかと思ったら、見事に加奈子という役をやってくれました。2人のバディもののような感じもして、バランスがとても良くて。撮っていて幸せでしたね。

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─ 監督からお2人に伝えたことはありますか?

事前に、原作者の村井さんと対談や質問をしてもらうなど、準備をいろいろやっていたので、現場中に「ここはこうして」みたいなことは特にはなかったです。もちろん場面場面でそういうことはありましたが、現場に入る前に大切なことは伝えたつもりです。

─ オダギリジョーさんとは2度目でしたが、いかがでしたか?

天才ですね、やっぱりあの人は。独特な天才。ぴったりだとは思ってはいたけれど、あそこまでとは。憎たらしいところ、憎めない愛らしい面はきっとできると思っていたけれど、最後のシーンで、あんな顔どうやってするんだろう、っていうような顔をしてくれて。本当にいい役者だなと改めて思いました。

(C)2025 「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会

─ 最後のアパートのシーンはどんな演出をされたのでしょうか?

それぞれの兄、という話はしました。オダギリさんについては、深く演出しなくてもあの人はできるので、そんなに細かくはしていないと思います。

僕としては、あのシーンを撮ることができればこの映画は成功だと思っていたシーンでした。言ってしまえば完全オリジナルの部分ですが、そこを見事に、オダギリさんも、それを受ける3人もそれぞれ本当にいいコラボレーションをしてくれたから、大好きなシーンになりましたね。

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─ あのシーンは当初から頭にあったのでしょうか

厳密に言うと、理子にしか見えないはずのものが、最後は3人とも見える、というところには持っていこうと思っていました。本当は娘の満里奈もと思ったけど、4人は多いなと(笑)。なので満里奈はアパートへは行かない設定に。

でも行かないためには行かない気持ちを作らないといけないから、彼女は一生懸命がんばっていたので、もうこれ以上は私はいいよっていうシーンを作ってあげました。

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─ 弟役の良一くんへの演出は?

彼はオーディションの時から、自分の間で芝居をしていたんです。そこがなかなか面白くて。普通オーディションって、セリフを言って、またセリフを言って、という感じなのですが、彼だけは1人自分の間で芝居をしていました。それと、今回はそんなに喋らない役で、表情や背景で物語らないといけなかったのですが、彼はそういうものを持っていたんですよね。表情も良かったし、なんだか寂しさを持っているような感じも良かった。だから彼は結構すんなり決まりました。勉強家で、よく脚本を理解してやってくれていて。もちろん細かいことはいろいろやりましたが、大きく何かっていう感じでもなかったかな。

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