─ 主要キャスト5人はどのように決めていったのでしょうか?

住野先生は、ミッキーよりパラは大きい、京くんよりヅカは大きい、エルは一番小さくなど、キャラクターの身長のバランスを気にされていました。それに加えてプロデューサーチームの希望と、僕が描くキャラクター像に合う人、という3つの要素があったので、だいぶ難しかったと思うんですけど、見事に全ての条件が叶う5人で、本当にぴったりな配役だなと思っていますね。キャスティングにはすごく自信があります。

─ 主要キャスト5人の魅力を教えてください

(C)2025『か「」く「」し「」ご「」と「』製作委員会 (C)2017住野よる/新潮社

奥平くんが演じた京くんは、すごく難しい役だったと思うんですよ。
極度のネガティブで、全てのものを悲観的に捉えて、それゆえに突拍子もない行動選択をしてしまう。本人の中では理にかなっているけれど、周りから見たら理解ができない。そういうちょっとこじらせたところがあって、簡単に理解できるキャラクターではなかったと思います。

そんな中で奥平くんは、わからないものはわからないってハッキリ言うし、「ここはどういう意味なんですか」って聞いてくれる。話し合いながら自分の落とし所を見つけるスタンスで芝居に臨んでくれていたので、パートナーとして信頼できましたし、助けられた部分も多かったですね。

僕自身も京くんの役柄を100%理解できてはいなかったので、一緒に考えながら作ることができて頼もしかったです。

(C)2025『か「」く「」し「」ご「」と「』製作委員会 (C)2017住野よる/新潮社

出口さんは、現場では飄々として笑顔で明るく振る舞っていて、一見何も考えてなさそうなんですけど、実は人一倍プロ意識が高い。どんなに疲れていても、大変なシチュエーションでも、狙った芝居を1発で決めてくるんです。

そのあたりのスイッチの切り替え方というか、プロ意識みたいなところに僕は感動すら覚えたぐらいで、一流になる資質みたいなものを持っている人だと感じましたね。これからが楽しみだなと思っています。

(C)2025『か「」く「」し「」ご「」と「』製作委員会 (C)2017住野よる/新潮社

佐野くんは多分一番忙しかったんですよ。新潟の撮影を終えて、その足で東京に戻ってミュージックビデオの撮影をして、翌朝早朝に戻ってきてこっちの本番に臨む、といった超多忙スケジュールだったんですけど、疲れてる顔一切見せずに、爽やかにニコニコ。スタッフへの気遣いもすごいし、礼儀正しいし、芝居も本当に真摯に取り組んでいて、疲れを一切感じさせない。なんだかアンドロイドみたいですごかったです(笑)。

大丈夫かなって心配になるぐらいなんですけど、本人は楽しそうに臨んでくれました。そういう意味で佐野くんもプロ意識がとても高いと感じさせられましたね。

(C)2025『か「」く「」し「」ご「」と「』製作委員会 (C)2017住野よる/新潮社

菊池さんは、憑依型って言うんでしょうか。役の気持ちをしっかりと自分の中に落とし込んで、自分の感情として熱量を持って発信をするので、気持ちが乗ったときの爆発力がすごくて。カメラが回る前からスイッチが入ってるんですよ。彼女の空気にスタッフも影響されるぐらいのパワーを持っている方でした。

ロジカルに取り組む奥平くんや出口さんとはまた違った芝居のアプローチの仕方だったので、それぞれの役との向き合い方が見られたのが僕としては面白かったですし、素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれてたので、見ていてすごく刺激的でしたね。

(C)2025『か「」く「」し「」ご「」と「』製作委員会 (C)2017住野よる/新潮社

早瀬さんは、5人の中で一番若いのに一番しっかりしているんです。もともと住野さん作品のファンだということもあり、住野さんワールドに対しての理解度が非常に高くて、想いも熱かった。なので彼女に関しては、僕がオーダーを出すというよりは、彼女が思うエル役を演じてもらって、彼女に引っ張ってもらうスタンスで臨みました。

思っていたキャラクター像とは違う一面もありましたが、結果として作品が良いものになったし、僕が知らない世界にまで連れていってくれたので、僕も取り組んでいて楽しかったですね。あの若さで、あれだけの強い想いを持って現場に臨めるっていうのはすごく頼もしいなと思いましたね。

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