驚くほど上手だった芳根さんの泣きの演技
─ 芳根さんと髙橋さんのお2人のキャスティングの決め手は何だったのでしょうか?
そもそも、誰にお願いするにしても、あまり描かれたことのない設定だったので演じている姿があまり想像できなかったんです。判断材料が少ないとなったときに、やっぱり演技がうまいと思う人が良いのかなと思ったんです。芝居がうまい、技術がありそうな人と言ってもいいかもしれない。それで、年齢の設定もふまえて、自分が見ていた作品で良いな、演技がうまいなと思っていたお2人にお願いしました。
チャレンジングな部分もありましたが、今までおふたりが演じられた役を見ていくと、きっとできるという確信がありました。
─ 監督から見て、芳根さんの演技はどうでしたか?
芳根さんは、泣きの演技が印象的でした。単純に自分があまり涙を流すシーンを撮ったことがないというのもあるんですが、すごく素敵なのと演技の素晴らしさに本当に感心しました。
あとは、撮影前に芳根さんから希望があり、芳根さんの親役の山中さん、片岡さんとも一度会ってもらったり、撮影前に団地の方の実家を見ておきたいということで行ってきてもらったりしました。高校生時代の2人の撮影時にも顔を出してくれて、感じるものや気持ちから演技を作られていたのが印象的でした。

─ 髙橋さんは「読み合わせのときから誰が見てもまなみだった」とのことですが、髙橋さんとご一緒してみていかがでしたか?
良かったですよ、やっぱり。頼んで良かったなって思いました。
演技の独特の間が面白いなと思って。リアクションが、1テンポほどでもないんですけど、ちょっとだけ後ろ寄りなんですよ。溜めるときは本当に大胆に溜められる人。夜の車の駐車場シーンがあるんですが、数えてみたら4、50秒沈黙していたんですよね。なかなか度胸があるというか、肝が据わってるなと感じました。

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