暑くてタイトな撮影
─ 現場での印象的なエピソードがあれば教えてください
撮影期間が短い上に、天候にも振り回されて毎日大変だったという記憶があります。8月の撮影だったのですが、群馬のとても暑いところで、しかもその時期、日本に2回も台風がきたんです。そのせいか、天気が安定せず、1日の中で晴れたり雨が降ったり曇ったりなど目まぐるしく天気が変わっていくという状況で撮影していました。そんな過酷な状況だったんですが、優秀なキャストやスタッフに集まっていただけたのもあり、きちんと撮影できました。全シーン撮れましたし。
一番しんどかったのは、学校の屋上での高校生時代の陸とまなみ2人のシーン。床が真っ白で直射日光が照り返していて、とんでもない気温になっていました。暑すぎて、撮影が途中で止まりましたね。2人のシーンはテイクも多めに撮っていたので、大変でした。

─ タイトなスケジュールだったのですね
他の作品と比べて少し短いくらいですね。それで作風も決まっていったところもあります。
撮影スケジュールが短くなると、1日に置けるカメラのポジションはやはり少なくなっていきます。それをどう工夫するかという話になるのですが、今回は、ワンカットをわりと長めにじっくり撮るかたちになりました。結果的には良かったと思っています。
落ち着いて見られる映画
─ 野口健司さんの撮影はいかがでしたか?
野口さんは、何年か前に一度深夜ドラマで撮影していただいたことがありました。内容云々の話の前に、たぶん野口さんじゃないと対応できなかったんじゃないかな、とは感じました。このタイトなスケジュールと過酷な暑さの中で、普段から様々な規模の作品をやられてる経験豊富な方なので、なんとか対応していただけたんじゃないかなと。
─ どんなイメージで撮影していったのでしょうか?
役者の演技が見どころの映画だと思ったので、なるべくカットを割らずに、演技をじっくり見せれたらと思っていました。さらにクローズアップはそこまで多く入れない方が、距離感として良いのでは、といったことを考えつつ撮っていったという形ですね。
─ 編集の山崎 梓さんとは今作が初めてですか?
以前一度映画でご一緒したことがあります。私が大学院に通っていたときに、助手みたいなことをされていたので少し面識はあって、その後映画を一度やっていただき、今回もまた、という感じです。
─ 編集を進める上で伝えたことはありますか?
撮影前にメインの2人の役のリハーサルのときに簡単に撮影して編集してもらい、それを見ながら話す、ということをしました。撮影後は本当に探り探りですね。シナリオからもわりと変更があったりして、編集にはちょっと時間がかかりました。当初予定してたよりも粘ってやってましたね。
ラストシーンに関しても、何パターンか撮っておきましょうということになったんです。編集で色々試した結果、ベストと思うラストになりました。
─ どんなラストになったのかは、ぜひみなさんに映画館で確かめてほしいですね。それでは最後に、記事を読んでいる方に今作についてのメッセージをお願いします
”入れ替わり” と聞くと、派手なコメディみたいなものを思い浮かべるかもしれないですが、意外とそういうわけでもなく、あまり見たことがないような、落ち着いて見られるような映画になっていると思います。楽しんでいただけると思いますので、見ていただけたら嬉しいです。