2人の関係とは
─ タイトルは『恋に至る病』ですが、宮嶺と景の関係を、先生ご自身は「恋」なのか、「依存」「洗脳」なのか、どのように考えていらっしゃいますか?
私としては、病──あるいは巻き込み事故に近いと思っています。本人たちがどう思っていようと、2人が出会ったことでこういう悲劇的なことが起こってしまったっていう、本人達の意思だけではないアクシデントだと思っているんですよね。
ただ自然に任せていたら、破滅的なことになってしまった。だから、後からあれって恋だったのかもとか、ただの依存だったかもって思うけれど、今の時点ではどっちでもないとは正直思っています。流される人間を悪意で誘導する、というプロットからしたら、かなり皮肉な結論になりますが。
良くも悪くも『立ち止まって考えることができなかったからこうなってしまった』という気持ちもあるんですよね。彼らの間にあったものはまだ依存でも恋でもなく、それが決まる前に終わってしまった話だなと思っています。

─ 「切なすぎるラスト4分」というコピーが付けられていますが、先生の目から見てラストシーンはどんな意味を持っていると感じましたか?
メタ的に言うと、観客が感動を整理する時間を設けてくれているなと思っています。怒涛の展開が終えたあとに、宮嶺と一緒に自分の感情を整理する時間になっていたな、と。
─ 見る方それぞれの結論を整理する時間になっているというか
恐ろしいとか悲しいとかではなく、フラットに終わる印象がありました。宮嶺が1人で何ごとかを思って終わるという感じなので、どっちにも取れるなと。その意味でラストはすごく原作に忠実だったなと思います。
─ 主題歌の Saucy Dog さんの楽曲はいかがでしたか?
爽やかな曲調なのに歌詞が辛いなと思いました。でも、あの曲調と歌声が、ある意味陰惨な話に、少しの明るさをもたらして終わらせてくれたなと思います。あの Saucy Dog さんの歌がなければ、もっと暗い気持ちばかりで劇場を出ることになっていたんじゃないでしょうか。
─ ありがとうございます。最後にこの記事を読んでいる方にメッセージをお願いします
素敵な映画に仕上げていただいたので、原作と一緒に楽しんでいただけると嬉しいです。スピンオフ小説の『病に至る恋』も出ているので、良ければぜひそちらもお手に取ってください。