─ 平井さんと森田さんも非常に重要な役でしたが、いかがでしたか?

まず平井亜門君に関しては、(杉田)雷麟君とはまた違う良さがある人。雷麟君はすごく作り込んでしっかり考え込んでいて、一旦自分の中で作り込んだものを崩さずにやりきる集中力みたいなものがある人なんです。亜門君の場合は逆に、目の前で起きていることや、発したその時の自分の身体の気分や状況、環境みたいなものに、割と柔軟に対応していて、ナチュラルにその場その場で演じるという感じ。テイクを後で見返すと、亜門君は結構テイクごとに違う。雷麟君は手の動かし方の上げ下げからタイミングに至るまで、後で見返すと適当に繋いでも全部繋がるぐらい正確なタイプ。対象的だけれど、どちらもすごく役者として魅力的でした。

森田想さんに関してはシンプルにすごかったですね。常に100点みたいな人というか。衣装合わせのときに、シナリオを開いて軽く本読みをする時間があったんですが、その瞬間から、喋り方だったり、話すテンポだったりがすでに美琴というキャラクターでした。僕が現場でちょっとした動きを「こういう感じでできたりしますか?」と聞くと、「いや、たぶん違うと思います」みたいな(笑)。こちらも返す言葉がないくらい、完全にこれ以外ないだろうという状態で、頑張って監督として何か言おうかなと思うけれど、言うことが何もない(笑)。完璧な芝居を常にし続けるという凄みみたいなものがあるのが森田さんでした。

3人ともそれぞれちょっとずつ違う、でも素晴らしい若い役者が集まったというのは、本当に幸運なことだったなと思います。

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