2人のために使うならいい
─ その他の子どもたちも演技の経験がない方ばかり?
そうですね。友達を連れてきてもらったりしているので。 映画の現場に来ているというよりも、遊びに来ている感じで出演してくれています。
─ 2作品とも音楽が彼女たちの救いになっているように感じました
満月も秋ちゃんも音楽が好きで、音楽に救われている子どもたちだったので、音楽は2人のために使いたかったというところがありますね。私自身は、映画に音楽を使うことがあまり得意ではなくて。例えば普段、私が緊張している時に緊張の音楽が流れてはないじゃないですか。それが映画には流れているのに演出を感じてしまって。映画音楽というジャンルは素晴らしいと思いますし、私も好きな音楽がいっぱいあるんです。でも自分が作品で音楽を使うとなると、その違和感を乗り越えることが自分にはできなくて、なかなか使うことができなかったんです。今回は2人のために使うならいいかなと思えたというか。2人のためにだけ音楽を使っている気がしますね。
─ 撮影中のエピソードや思い出があれば教えてください
『満月』では友達役で秋ちゃんが出演しているのですが、現場で秋ちゃんがセリフを言えなくて泣いてしまったことがあって。秋ちゃんが吃音だということは、私たちは知らなかったんです。その時に、秋ちゃんと満月と3人で話して、当時は秋ちゃんが何を抱えているのか分からなかったけれど、私もセリフを言えなくていいかなと思えてきて。そしたら満月が「秋ちゃんがセリフを言えないなら私が全部言う」と。結果、秋ちゃんが言えてないとは見えなくなっていました。満月は人に対してすごくかっこよく優しくて、満月らしいなと思ったエピソードです。