人を傷つけたりしない監督らしい台本
─ 監督から見て、大沢さんの成長は感じましたか?
森井 そうですね。『こちらあみ子』の時は、一菜もお芝居をするということは初めてだったので。芝居をしているという認識よりもいつのまにか撮られているという感じだったでしょう?
大沢 急にカメラが回ってた。
森井 そうそう。そういうやり方を『こちらあみ子』ではとりましたが、今回は一菜も成長してきているので、ちゃんと一俳優として向き合った感じでした。
─ 前作の時は台本を事前に渡していたのですか?
森井 台本は渡しているんですけれど、セリフを覚えるのを前日にしてましたね。今作でも同じことをやって。
大沢 台本取り上げられてた。
森井 そうですね、最初の方は台本を取り上げていました(笑)。途中から、成長している感じがしたので台本を返しましたけど。
最初に台本を取り上げていたのは、事前にセリフを覚えようとして練習すると、抑揚が固定されるというか、「こういう喋り方をしよう」と思って準備してくることになるから。それよりも、綾瀬さんと現場で2人でいたときに、どんなふうに言ってしまうか、どういう声音になってしまうか、といったことに興味があったので。
セリフはどちらにせよ覚えてもらわないといけないので、前日に、方言指導の方と一緒に翌日のセリフを覚えてもらうやり方をとりました。
─ 大沢さんは初めて台本を読んだ時、 今作についてどう感じましたか?
大沢 監督が書いた台本だからか、すごく監督らしいなって。人を傷つけたりしないところ、ほんわかとしたところが監督らしいなと思いました。
─ 監督は人を傷つけないという点は意識されていますか?
森井 そんなに意識はしていなかったですが、一菜がそう感じてくれていたなら嬉しいです。