トークセッションでは、30年という歳月、そして4Kリマスター版の制作、世界中で愛される本作の魅力について、それぞれの想いが語られた。
岩井監督は、本作が自身初の長編劇場映画作品であった当時を振り返り、「これで失敗すると映画の仕事は来ないなっていうプレッシャーはありました」と、若き日の自身を回顧した。小樽での過酷な撮影現場の様子や、二日酔いで助監督に演出を任せた日もあったというエピソードをユーモラスに語りつつ、作品にまつわる様々な奇跡的な出来事を明かした。

小樽でのロケ地選定の理由、阪神淡路大震災との時期的な近さ、そして公開直後の地下鉄サリン事件など、当時の社会情勢と作品公開のタイミングが重なり、様々な想いが去来したという。「それでも、この作品がアジア圏を中心に世界中で愛されるようになり、多くの人と繋がることができたのは、まさに魔法のような出来事でした」と、岩井監督は作品が持つ不思議な力について語った。そして、昨年11月頃に中山さんと連絡を取り、小樽を巡る計画を立てていた矢先に訃報が届いたことを明かし、無念さを滲ませながらも、「この作品との縁は、きっとまだ続いている」と、未来への希望を語った。
