このたび公開された本編映像は、車から降りてきた翔(桒木里夢)に、音々(綾瀬はるか)は「おかえり、翔」と声をかけ、うれしさを隠しきれない様子で家の中へ招き入れる。その一方で、健介(大悟)はどこか戸惑いをにじませた複雑な表情を浮かべる。部屋の中で、音々は翔の取扱説明書を見ながら、GPSや知的レベルの設定を一つひとつ確認していく。たくさん話しかけることでそれに応え、健やかに成長していくという設定を聞き、「たまごっちやん」と言う健介に、音々は険しい表情で睨む。さらに音々が電源ボタンの位置や充電の表示を確かめていく中、健介はうつむきながら「ルンバやん」と呟き、野球の試合へ行くと言ってその場を後にしてしまう。ヒューマノイドを前向きに受け入れようとする音々と、距離を取ろうとする健介——一見すると軽口のやり取りにも見えるこのシーンだが、大悟ならではの間や言葉のニュアンスによる、悲しきユーモアが、「同じ顔」に違う感情を抱いた夫婦の埋めがたい距離と、それぞれが抱えた喪失の深さを際立てるシーンとなっている。

是枝監督は綾瀬と大悟の印象的なシーンについて、後半で登場する夫婦喧嘩のシーンを挙げている。その理由について、「ひとりのトーンが変わると相手も変わってきます。衝突をどのぐらいの感情のぶつかり合いにするかはテイクごとに違うので、珍しく10テイクぐらい撮っているんです。喧嘩のシーンで初めて二人が向き合うように、それまでのシーンでは座り方も含めて横並びにするなど、なるべく二人が向き合わないようにしています」と語っている。物語が進むにつれて、夫婦の間にある感情が次第にあらわになり、二人のリアルな距離感がよりくっきりと浮かび上がっていく。積み重ねられてきたすれ違いや想いが交錯する中で、綾瀬の繊細な表現と大悟の飾らない言葉が重なり合い、夫婦の関係性の変化が丁寧に描かれていく。

本編映像はこちら https://youtu.be/fyReHUlCfzI

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