本作に登場する人物たちは、誰もが過去の後悔や罪、自分でも善悪では割り切れない感情を抱えている。中でも民恵は、“矛盾する感情”を強く抱える人物だ。
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中島監督が民恵を描くうえで何よりも大切にしたのは、彼女のある一面や行動だけを見て、観客から「悪い人」と受け取られないことだった。過去をすべて封印してしまったかのような民恵だが、その行動の奥には、ひと言では説明できない思いが渦巻いている。さらに、そのキャラクター造形は、撮影が始まってから作られたものではなかった。中島監督は脚本の第1稿を書き上げた段階から黒木に脚本を渡し、決定稿へ至るまで、黒木自身の解釈も聞きながら民恵という女性を作り上げていったという。
脚本を書いた監督と、それを演じる俳優。撮影前から二人が対話を重ねることで、善悪という単純な物差しでは測ることのできない民恵という人物が形作られていった。黒木自身も、最初に中島監督から人物シートを渡された際、「脚本を読みながら、民恵はこういうことを言うのかどうか相談させていただきました」と、役柄について話し合ったことを明かしている。