─ 今作で特に印象に残ったシーンやセリフはありますか?

旅館で、お母さんがお父さんに向けて放つ、とあるセリフですね。考案者は永岡さんなのですが、このセリフ、どんなふうにお母さんは言うのだろうと思っていたんです。そして本読みの際、お母さん役の石本さんがそのセリフを言った時に「なぜこの方はこんなにもあまりに自然に軽やかにこのセリフを言えるんだ……?!」と感動してしまいました。

このセリフを受けたお父さんの反応もあまりにも岩田家(登場人物一家の苗字)のお父さんすぎるので、このシーンはとても好きです。

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(C)八王子日本閣

─ 劇場でそのシーンを是非、観てほしいですね

お母さんとお父さんのテンション感の違いも是非楽しんでいただけたらと思います。

─ 完成した作品を初めて観た時はいかがでしたか?

へんてこというか、変な作品だなと(笑)。自分が書いた脚本から考えると、全く違うところに着地したなという意味で、変な映画だなと思ったんです。といっても全くネガティブな意味はないんです。永岡さんをはじめとする本当にいろんな方に協力をしてもらい、自分が考えていたところじゃないところにいったという感動もあって。コメディーなシーンがあったり、真面目なシーンがあったり、家族の話だけれど、どういう映画なんだろうという部分があって、変な映画だなという感想だったんですけれど、私はこの映画がすごく好きです。これだけ多くの方に協力いただいているので、この作品を広めたいな、広める義務があるなと改めて思いました。

─ 撮影時とは違う印象になったのでしょうか?

客観的に観ることができたのかもしれません。撮影している間はその話の中にいたというか、作品に近いところでずっとやってきたから、違和感もなかったんです。

撮影後、私は作品から離れて、永岡さんや他の方に編集などをお任せをしていたので、いざ作品を観たとき、作品と自分との距離感がリセットされてまっさらな状態で観ることができた気がしています。そして、変な・不思議な作品だなと思いました(笑)。

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─ 公開もスタートしていますが、作品への反響は届いていますか?

「自分の家族のことを思い出しました」と言ってくださる方が結構いて。この作品を観てくださった方の心に触れられたことが嬉しかったですね。ポジティブでもネガティブでも、なにかしら感想を抱いてくれて、それを伝えてくれることが嬉しいですし、自分が1人で書き始めたものが多くの方のおかげで形になり、こんなふうにみなさまに届けられて、反応をいただけるということに感動しました。ありがたいです。

─ 最後に、記事を読んでいる方々へメッセージをお願いします

映画を作り始めた時は、作ることに精一杯で、その先のことを考えられずに目の前のことを一生懸命やってきましたが、作品が完成して観たときに、1人でも多くの方に広めたいと心から思いました。家族の話で、登場人物の誰かにご自身を当てはめて見ることができるのではないかなと思っています。みなさまのご協力のおかげで素敵な作品ができましたので、是非劇場でご覧いただけますと幸いです。

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瀬戸かほ SETO KAHO

1993年11月11日生まれ。神奈川県出身。
2015年に映画『orange -オレンジ-』でデビュー。映画、舞台、ウェブドラマで女優として活躍し、ミュージックビデオへの出演も多数。映画『リビングの女王』では第6回賢島映画祭にて助演女優賞受賞。近年の劇場公開作として、『この日々が凪いだら』(常間地裕監督/2021年)、『クレマチスの窓辺』(永岡俊幸監督/2020年)、『神様のいるところ』(鈴木冴監督/2019年)、『ストレージマン』(萬野達郎監督/2022年)がある。原案・プロデュース・主演を務める短編映画「きまぐれ」が2024年3月15日より全国で順次劇場上映中。

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(C)八王子日本閣

『きまぐれ』
5月15日 〜 5月26日まで島根 Shimane Cinema ONOZAWAで公開

6月9日 SSFF & ASIA 2024Cinematic Tokyo部門にノミネート
東京 表参道ヒルズスペースオーにて一度限り公開

愛知シネマスコーレで初夏公開

プロデューサー・原案:瀬戸かほ
監督:永岡俊幸
出演:瀬戸かほ、内田周作、石本径代、櫻井成美、二見悠、ミネオショウ
配給:Route9 & Friends

『きまぐれ』公式サイト

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