話し合わなくてもわかりあえる関係

─ 大貴と希を演じるにあたって、専門家などに取材をされたそうですが、どのように役に落とし込んでいきましたか?大きな気づきなどはありましたか?

安田 たくさんの方が監修に入ってくださってASDについて教えてくれました。見学させてもらったさくらんぼ教室という施設では、4歳から30歳くらいまで幅広い年代の方がお話してくれました。ユーモアがあって前向きに話しかけてくれる人や、ちょっとシャイな方もいて、それぞれ自分のやり方で会話してくれたんです。

そこで自分の中で出た答えは、「大貴」は誰とも違う「大貴」という存在だから、誰かを模倣する必要はないんだということです。大貴には、希と生きてきた過去と現在がある。兄妹のこれまでの時間を体に染み込ませて、心で感じることを大切に演じたら『平行と垂直』の大貴になりました。

あとは、のんちゃん演じる希との阿吽の呼吸みたいな感じで積み上がっていったものが大きかったです。

(のんさんに対して)兄弟の関係を「ああしよう、こうしよう」って二人で討論はしてないよね?

のん ないですね。

安田 大貴と希の感情が大きく揺れるシーンでは、のんちゃんがお芝居を通して出してくれた空気を感じ取って、大貴としてお芝居で返す、その繰り返しだったように僕は感じています。

─ のんさんはカウンセラーの方とお話したそうですね

のん 私は希と同じようにASDのきょうだいがいるカウンセラーの方々にお話を伺いました。「このシーンってどう思いますか?」と聞いた際に「とてもリアルな描写ですね」とご自身の体験なども詳細に教えてくださったんです。それらのお話を心に留めて、納得感を持って撮影に臨むことができました。

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