大貴の言葉にできない感情を捉える
─ 本作は言葉がなくても伝わる兄妹の関係性が印象深いのですが、大貴が感情を表に出していくとき、演じる上で気をつけた点は?
安田 ASDの方がどのくらい理解してくれているのか。意味の理解の度合いや、感情面が理解できているかどうかは、その方によって少しずつ違っているんですよね。ご家族の方にお話を聞くと、「感情まで理解してくれるときもある」という家庭もあれば、「感情は全く理解できていない」という方もいる。ご家族の方も、それぞれ感じ方が違ったんです。本人ではなく周りの意見ですが、それもバラバラだったんですね。
僕は大貴を演じていく中で、すべてを理解しきれなくても、希と喧嘩してしまったらもやっとする感情、心地よくない感情がある、と理解していたと思うので、自然とそうなっていきました。

─ 大貴はそういった感情を言葉ではなく体で表現していたのですね
安田 大貴の目の動き、放たれている空気、姿勢や手の位置、硬直具合、いろいろなものが合わさって心理を表しているという感覚で演じていました。
─ のんさんは関西弁でまくしたてるシーンもありましたが、感情の出し方で工夫されたことは?
のん 関西弁で怒ったりすると、柄が悪いと受け取られるときがあるじゃないですか。だからそう見えちゃいけないなと思って気を付けていました。怒りの感情ややりきれない思いが伝わるように、でも関西の方にも納得していただけるようにしたいなと。
安田 だからかな。希の尖りみたいなものはあるのに、そこには心配も寄り添っていて、柄悪くは感じなかった。のんちゃんが意識して演じていたからなのかもなと、話を聞いていて今思いました。