最初からのんちゃんを信頼していた

─ 安田さんとのんさんから見て、大貴と希の関係はどう思われますか?

安田 2人の関係性は、ASDかどうかは関係なく、たくさんあるきょうだいのかたちの一つ、という感覚です。定型発達同士の2人でもっといがみ合っている人も見てきたし、めちゃくちゃなお父さんだった人もいっぱい見てきました(笑)。そういう意味で言うと、世の中にたくさんいる家族の一つのケースに見えていましたね。

のん 希としては、「大貴のことを一番わかってるのは自分だ」っていう自負があるんじゃないかなと思います。心のどこかで「お荷物」だと思う気持ちを拭えない反面、「自分が一番わかってる」と思っている。そこには強い繋がりがある気がします。

希は、大貴を気にかけているのは自分のほうだと思っているけど、大貴に支えられている部分も大きいんじゃないかと。希が好きな大貴の得意料理の卵焼きは、その象徴だと思います。

─ 安田さんとのんさんが好きなシーンはありますか?

安田 川沿いのシーンは演じていてとても楽しかったです。どう説明したらいいんだろう、決して楽しくて笑えるシーンじゃないんですよ。だけど、ちゃんと役として繋がっている感覚があって、一緒に紡いでいっている時間がとても充実していて「やったー!」みたいな多幸感がありました。そもそも僕は最初からのんちゃんを信頼していましたから。

のん よかった、その言葉を聞いてホッとしました。私も川沿いのシーンが大好きで楽しかったです。セリフがない場面でも通じ合っている感じがして、気持ちが熱くなりました。

─ 本作に出演して、家族に対する考えに変化はありましたか?

安田 自分のことで言うと、病気をして2回ほど命がなくなりかけたことがあるので、もともと家族に対して全部の感情をちゃんと届けるようにしているんです。子どもの頃から仲が良かったのが、今はもっと親密になった気がします。両親や自分の最期についても率直に本人たちと話して「何かあったときは面倒みるから」と言っています。この作品を経て、よりいっそう積極的にそういう話をしているかもしれません。

のん 家族に対しては、年々感謝の気持ちが強くなっています。自分を無条件で肯定してくれて、私が楽しいことが一番嬉しいと言ってくれる両親なのは、すごくありがたいですね。正直、実家で暮らしていたときは、何のありがたみも感じていなかったんですが(笑)、離れてみて、母が幼い私を育ててくれたときの年齢になったとき、こんなに手がかかる子を育てながら家事と仕事をしていたんだ、すごいなと思いましたし、本当に感謝しています。

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