「自分の頭で考えて行動する」というメッセージ
─ 日本体育大学(日体大)の学生さんが組体操のシーンで協力されていたそうですね。どのような形でかかわっていたのでしょうか?
日体大の組体操をパフォーマンスする「体操部」と、一糸乱れぬ動きで複雑な隊列を形成する「集団行動部」の2団体にお願いしました。先生も学生さんもこの映画の撮影にノリノリになってくださいまして、組体操の形などを一緒に考えて作り上げていきました。
狭い廊下を組体操のまま前進するシーンは、「気持ち悪い動きはないですか」と相談をして、さまざまな動きを提案してくださった中から生まれました。冒頭30分くらいの人間ピラミッドも、CGではなく学生さんたちに協力してもらってリアルな人間ピラミッドを作り上げています。日体大の皆さんのおかげで本作は完成したと言っても過言ではありません。

─ 本作は、学校内だけの話ではなく、世の中の人たちの心理と行動がネガティブな方へと暴走する描写もあります。芸能人のスキャンダルにカメラとマイクを突きつけて執拗に質問をし続ける多数のメディアや、暴力を振るわれている人をスマホで撮影してSNSにアップする人たちなど。何か狙いがあったのでしょうか?
僕が身近に感じる社会問題にスポットをあてました。洗脳まではいかなくても、ときどき妄信的になりすぎていると感じたり、みんなで叩きすぎじゃないかと思ったりすることがあるので、そういう集団心理の怖さも描きました。
この映画で言いたいことは “自分の頭で考えて行動をする” ということです。 “恐怖に支配されず、目を覚ませ” と。奇しくも世の中がそういう流れになっているような気がするので、愛と優を通して、自分で考えて行動することを大事にしてほしいというメッセージを込めました。

─ 下津監督の前作『みなに幸あれ』(24)も本作も、突然の音で恐怖を煽ったり、急に襲われたりという、いわゆるジャンプスケア的映像表現はあまり使われていませんが、そういった表現はあえて避けているのでしょうか?
作品そのものの構造が怖い、という恐怖を狙っているので、ジャンプスケアで恐怖演出をする作品とは怖さのベクトルが違うんだと思います。またジャンプスケアをうまく駆使して成功している作品は多くあるので、僕は違う戦い方をしたいと考えました。
1から10まで丁寧に説明する映画がありますが、僕の映画は3から7くらいまでの説明で余白を作っています。余白を恐怖心に変換させるのが狙いです。
