西島秀俊と満島ひかり、バディの演出
─ 西島秀俊さんが演じた佐竹は、原作とは設定が変わっています。映画の佐竹に原作よりも重いものを背負わせた理由は?
映画化するにあたり、2時間ほどの尺で全てを表現するためにどこかは整理する必要がありました。障がいのある息子に向き合わなかった佐竹が、自分にはできなかったことをしている明野を見るという構成にして、影響を与えあう人間たちのみを描きたかった。原作のそれ以外の部分はけっこう大胆に削っています。
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─ 佐竹も難役だと思いますが、西島さんをどのように演出しましたか?
西島さんは、表情豊かに自分を表現する役よりも、押し黙っているけれど腹には何かものすごいものを抱えているような役が向いている気がしたので、今回佐竹として表現したいことにぴったりだと思いました。最初はただの不機嫌そうな男に見えますが、だんだん彼の闇の部分、傷の部分が見えてくるというように演出し、満島ひかりさんが演じる聡子との対比も考えました。
聡子はガンガン自分を押し出していく女性。やりたいことはやるし、言いたいことは言うキャラクターなので、佐竹と好対照のバディになると思い、西島さんと満島さんのコンビがいいんじゃないかと思いました。

─ 聡子も、満島さんしかいないとキャスティングしたそうですね
聡子は相当変わった女性です。傍迷惑な一面もあるので、下手な俳優がやると観ている方はイライラして「黙っててくれよ」と言いたくなってしまう。
ただ、聡子のお節介や頑張りが、実はこの映画の人間達を動かしているんです。明らかに出過ぎたことをしても、それが結局いい結果を生むことだってある。満島さんがやったあの役が、それでもちゃんと魅力的に映っているとしたら、それは聡子という難役を演じた満島さんの力だと思いますよ。
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─ 西島さんと満島さんには細かく演出されたのですか?
そうでもないです。ただ、佐竹と聡子は役を掴むのが難しいと思ったので、読み合わせをしたり、役について話し合うことは事前に少しやっています。この映画は「食べる」ということもテーマなので、食べながら話す、食べながら動くといった練習もしました。けっこう難しいんですよ。
障がい児役の新くん含めて、生きることと食べることは関係が深いと思い、食べるシーンはとにかく撮ろうと決めていました。
─ 聡子は確かによく食べていましたね。彼女がガツガツと食べる姿に、彼女の生きる力を感じました
そうですね。捉え方は観客の皆さんそれぞれにお任せしますが、逆に佐竹はあまり食べない。お酒を飲んでばかりです。そういう食べたり飲んだりという一面からもキャラクターの内面を表現したいと思いました。