レコーディングは驚きの連続だった
─ 坂東龍汰さんと岡山天音さんにオファーされた理由は?
ナチュラルな演技がすごくお上手なのでお願いしました。あとは、幼少期と青年期で声優が変わるので、そのバトンタッチがスムーズであることも大事でした。
いろいろ考えるべきことがありましたが、そのどれを考えても、坂東さんと岡山さんならぴったりこなしていただけると思って、オファーさせていただきました。

─ 監督からお2人には、どのようなリクエストをされたのでしょうか?
まず、僕自身が仮の声を当てているビデオコンテを、お2人には本番まで見せないようにしました。僕が思っている通りのものが録れたとしても、それは僕自身には納得感があるかもしれないけれど、僕以外の人にとっては、僕のビデオコンテの声なんて馴染みがないわけです。客観的に聞いて「素晴らしい」と思えるものや、「この場面なら、こういう怒り方をして当然だ」と思えるものにならなくてはいけない。
僕からは「ここでは、なぜ怒っているのか」「なぜこういう状態になっているのか」という意図は説明しますが、それを実際にどう発声するのかについては、なるべく触れないようにしました。「思うように言ってみてほしいです」ということは、お2人に伝えていましたね。
─ 実際に声が入り、監督自身にとって意外だったことや発見はありましたか?
本当に驚きの連続でした。僕は4年間、自分の声を当てたビデオコンテを見続けていますから、実は最初にお2人の声を聞いたとき、完全にしっくりきた、というわけではありませんでした。でも、2つ目、3つ目のセリフを録音していくうちに、目の前で出来上がっている絵に役者の方々の声が当たっている状態を見てーー。初めてこの映画を観るお客さんにとっては、こちらの方が納得できると、だんだん分かってきたんです。そこからは勇気が出てどんどん進めていけました。
僕は演技のプロではありませんから、その状況を解釈した上で、人にきちんと意図を届けるためにはどう演じればいいのかというアイデアは、自分にはないもの。そういった発見を次々にできたレコーディングだったと思います。
