中島哲也監督の最新作『時には懺悔を』が全国公開中。原作は打海文三の同名ミステリー小説。中島監督が原作に惚れ込み、18年かけて公開にこぎつけた渾身の一作だ。
米本(佐藤二朗)という探偵が死体で発見された。「死んだ方がマシな人間」と噂されるほど悪名高い男の死の真相を調査することになった探偵の佐竹(西島秀俊)と助手の聡子(満島ひかり)。調査を進めるうちに、米本が重い障がいのある少年・新(しんすけ)と父親の明野(宮藤官九郎)を調査していたことがわかる。なぜこの親子を調査していたのか。米本に調査を依頼した者は誰なのか?
映画化実現まで18年という時間を要した今作。原作の魅力、キャスティングなど、映画の裏側について中島監督に話を伺った。

障がいのある少年に救われる大人たちの物語
─ 中島監督が感銘を受けた打海文三さんの原作の魅力について教えてください
原作小説に描かれている、人間の魂に強く惹かれたというのが、正しい言い方のような気がします。
映画化することができなかった企画は他にもありますが、なぜだか『時には懺悔を』に関しては、捨てるとか、忘れるということができなかった。原作を読んだときに、今後どうなるかわからないけれど、なんとなくみんな前を向いていくところに惹かれて、僕の中で、原作に登場した人間たちがずっと消えなかった。いつかは彼らを映像化して皆さんに紹介したいという想いがありました。
─ 登場人物たちが苦しみながらも必死に生きている姿に惹きつけられました。キャスティングはどのように決まっていったのでしょうか?
最初に頭に浮かんだのは明野を演じた宮藤官九郎さんですね。18年前に原作と出会って、最初にプロットを書いて企画化しようとしたときも明野役は僕の中で宮藤さんでした。そのとき想定した他の俳優さんたちは月日が経って全員変わりましたが、宮藤さんだけはあのときのまま。『嫌われ松子の一生』でも、情けないダメ人間みたいな男を演じてもらっていたので、宮藤さんはずっと頭にありました。

─ 監督から見た宮藤官九郎さんの俳優としての魅力は?
明野は技術で演じようとすると、とても難しい役です。でも宮藤さんが演じると、ただのひどい男にならない。どこか人間の弱さ、脆さが垣間見られるんです。
俳優からあふれる個性みたいなもので演じてくれる、そこはやっぱり宮藤さんが一番かなと。自分の弱さを人のせいにして八つ当たりするみたいな役を、魅力的に演じるのがとても上手だと思います。