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『我々は宇宙人』門脇康平監督 未来の“定番”をつくる

長編アニメーション映画『我々は宇宙人』が、2026年9月25日(金)より全国劇場公開される。

舞台は平成のある田舎町。内気で、自分が「普通」であることに悩む少年・翼は、小学3年生の春、クラスの人気者である暁太郎と出会い親友になる。しかし、ある出来事を境に暁太郎はクラスの中で浮いた存在となっていく。2人の30年にわたる友情を描いた青春物語だ。

企画・脚本・監督を務めたのは、本作が初の長編アニメーション監督作となる門脇康平監督。翼の声を坂東龍汰、暁太郎を岡山天音が担当。また音楽はYaffle、主題歌をadieuが担当するなど、新世代を象徴する才能が集結した。第79回カンヌ国際映画祭監督週間に正式出品、第50回アヌシー国際アニメーション映画祭の長編コンペティション部門にも選出されるなど、海外からも注目を集めている。

門脇監督に、本作についてお話を伺った。

─ 門脇監督自身の経験が色濃く混ざった作品とのことですが、どのような記憶や感情がこの物語の出発点になったのでしょうか?

20歳を過ぎた頃から、今作のような空気感を閉じ込めた作品を作りたいと思っていたんです。ストーリー未満の断片的なシーンを、絵コンテのような形でメモとして書き溜めていました。いつか映画を作ることができたら、こういう瞬間を残しておきたいな、と。映画にすると決まったときにはじめて、それらを1本の串に通すためのストーリーを企画書として考え始めました。

そこで真っ先に頭に浮かんだのが、幼少期の初恋の思い出と、かつて仲が良かった友人と疎遠になった強烈な記憶です。その2つを軸にしてストーリーを作っていこうと考えました。

(C)NOTHING NEW, MIYU PRODUCTIONS

─ 形になるまでには、かなり時間がかかりましたか?

そうですね。企画書は3か月くらい書いていたと思うんですけど、ストーリーが完全に固まるまでは3年以上かかっています。ただ、原画は先に描き始めないと間に合わないので、このシーンはなくならないだろうと思うところから原画をスタートして、悩むところはずっと悩んでいました。そう考えると、ストーリーは3、4年くらいずっと書いていたと思います。

─ 原画を作るのとストーリーを考える作業が、同時進行で進んでいたんですね。

何度も加筆修正を加えて95点くらいまで完成させたんですが、その95点バージョンを、それまで内容をまったく知らなかった人に見せたら「ちょっと微妙」と言われて。その時点ですでに3年くらい経っていて、原画もかなりできていたんですけど、勇気を出して、その95点の脚本を一度崩しました。

何かがつまらないのであれば、そこには理由があるはずだと思ったので。根幹から考え直して、大解体と再構築のようなことを半年くらいやって、ようやく「これならいける」と思えるバージョンになりました。

─ そこから、ようやく作品として本格的にスタートしたということでしょうか?

でも、それが完成の8、9か月前くらいなんです。すでに原画が半分以上できていたので、ストーリーの変更によってボツにした原画もあります。本当は別のシーンのために描いた原画だけど、表情を変えて違うシーンとして使おう、ということもありました。ストーリーと原画を同時並行で作っていた感覚ですね。

─ 監督にとって、これまで経験したことのない生みの苦しみもありましたか?

ありましたね。「自分なら美しい絵を千連発して、2時間があっという間に感じる、そんな映画体験を作ることができる」と、心のどこかで思っていたんだと思います。でも、どうやらそうではないということに気づくまで、描き始めてから数年かかったんですよね。

それまでやってきたミュージックビデオの仕事とはまったく違いました。僕が目指していたのは、「見たことがないのに面白い」と思えるような、新しい定番のような作品です。ただ新しいだけではなくて、「これは未来では定番になるかもしれない」と思えるような、とっつきにくさのない作品にしたいと思って作りました。

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