末澤さん、才能あります
─ キャスティングについてお伺いします。磯村勇斗さん、綾野剛さんはすでに実績のある俳優ですが、末澤誠也さんは個人では映画初出演。拓海役を彼に決めた理由は?
今作のプロデューサーの方が末澤さんの主演ドラマを制作したことがあり、拓海のイメージにピッタリだと提案されたんです。そのドラマを観たら、自分に自信がなくうまくやりすごせない青年役。映画の拓海と同じような髪型をしていて、芝居も良かった。僕の嫌いなタイプの演技じゃなかったし、磯村勇斗、綾野剛の間に末澤さんが入ったら面白くなると思ったんです。
─ 末澤さんはAぇ! groupでアイドル活動もされていますが、それもご存じだったんですか?
キャスティングが決まったときは、まだAぇ! groupはCDデビュー前だったんですよ。だから僕もぼんやりとしか知らなかった。でも僕はアイドルが主人公の映画を何本かやってきているし、これまでアイドルとして活動してきた末澤さんの先輩たちも僕の映画に出ていますから、アイドルの芝居の演出については経験値があります。
あとこの映画で初めて末澤さんを見る映画ファンがたくさんいると思うので、フレッシュな存在としてちょうど良かったんですよね。幸いなことにAぇ! groupはCDデビューもしたので、プロモーションでさまざまなメディアに出てくれるだろうし、ファンの皆さんも観てくれるだろうし、一石二鳥どころか何鳥もあるぞと(笑)。何より末澤さん本人もとてもいい方で頑張り屋なんですよ。

─ 磯村さん、綾野さんと同じレベルで演出するのは難しい面もありましたか?
磯村さんと綾野さんは放っておいてもちゃんとできる俳優なので、僕は末澤さんの面倒を見る気満々だったんです。でも撮影に入ったら、ベテランみたいでした。あれこれアドリブ的な注文も投げましたが、問題なくついてきたので「できるな!」と。
ついていくのがいっぱいいっぱいです、という人だと、ちょっと遊びを入れたくても負荷がかかるからやめようとブレーキをかけるけど、末澤さんは何を投げてもできちゃうから。才能ありますよ。この映画が公開されたら俳優の仕事増えるんじゃないかと思います。

─ 演技に安定感のある磯村さん、綾野さんとフレッシュな末澤さん、いいトリオでした
拓海のポジションに若手の上手い俳優を持ってきちゃうと、まとまりすぎて面白くないと思ったんですよね。ひとり違うフィールドで活躍する人が入ることでいい感じに異物感が生まれて、化学反応が起きて、面白いものになる。『空白』という映画のときは、古田新太さん、松坂桃李さん、寺島しのぶさんという演技巧者3人がメインだったから放っておいてもうまくいったし、俺は見ているだけで済むけれど、「俺が料理した」という手応えはなかった。でも今回は未知数の存在である末澤さんが入ったことで、やりがいが生まれました。