『トランジット・イン・フラミンゴ』は体験する映画
─ 完成した映画をご覧になった感想をお願いします
山下 こういう映画、もっとあったらいいのにと思いました。この軽やかさってなんだろうと思っているのですが、私はこの映画についてずっと「体験する映画」とお話ししているんです。観客の皆さんも3人の小さな旅に参加しているような、宇陀の空気を吸っているような感覚になれる映画だと思いました。
大きな事件は起こりませんが、ひとりじゃないからこそ生まれる「何か」があって、それがとても愛しい時間になるんですよね。自分の心の変化は自分では気づかない人が多いと思うのですが「自分はどうしたかったか」と本来の自分を取り戻せるような、そういうあったかい映画になっていたことが、私はとてもうれしくて。笑っていられれば、どうにかなるってことあるんじゃないかなみたいな。そういう映画が今の時代、1本あってもいいなと思いました。
祷 最新技術とか効率化とか言われ、ちょっとでも便利に早くというものが溢れていて、そういうものがベースになっている社会に私たちは生きています。自分が向き合っていること、仕事とか生活とかに気づかないうちに追われていて……。私もそうだし、そういう方は多いと思うんです。
でもそういうときに「あれをやらなくちゃ、これもやらなくちゃ」ということから1回離れて、今の自分とは無関係な場所に行き、違う時間軸で生きている人に会ってみると、帰ってきたときに今の自分に必要なこととか、すごくシンプルな目線で素直な気持ちを抱けることってあるんじゃないかと思うんです。この映画はまさにそういうことを描いている作品なんです。
だから完成した映画を観た人が、自分の生活に戻ったとき、宇陀で3人と出会っていろいろなことがあったなと、1個心強いお守りをもらったような、縁(よすが)みたいなものになったかなと思っています。そういうことがあるんだよ、ということを全力で肯定している作品になっていると思いました。
─ 次にまた共演するとしたら、今度はどんな関係性の役がいいですか?
山下 なんやろうなあ……。
祷 今回はやわらかい感じで一緒にいたんですが、今度はバチバチな関係もいいと思います(笑)
山下 わかる(笑)確かに。
祷 振り回したいです、拳振りかざして(笑)
