さらに本作は母親が読み聞かせる絵本として『星の王子さま』が登場するが、学生からは、この『星の王子さま』に関連した質問が多く寄せられたという。
そんな中で学生からの「『星の王子さま』は目に見えない大切なものを見る想像力を肯定する物語ですが、この映画では『見たいものを見てしまう危うさ』を描いているように感じた」という鋭い考察を交えた質問が寄せられると、監督は「まさに意識しました」と深く頷いた。「でも最初からクリアに見えていたわけではなく、書いているうちにだんだんとハッキリしてきたところもあって。タイトルも含めて『星の王子さま』も後から来たと思うんです。このタイトルも、母親が読み聞かせる絵本を決めようという時に、ヒューマノイドに理解できない話がいいなと思って『星の王子さま』が思いついた。その流れの中でだんだんとテーマと絡んできたんです。そうやって徐々に作品の向かう先とフォーカスが合っていく感じが、映画づくりの楽しいところですね」と付け加えた。

翔がヒューマノイドのリーダーから「君たちは人間の過去じゃない、未来だよ」と告げられる一方で、音々からは「あなたの過去の産物」と表現されることについて、「人間の手を離れた先にどのような世界が待ち受けているのか」という視点からの質問も寄せられた。
これに対し是枝監督は、「“過去の産物”という言葉も、そのままの意味で捉えてほしいわけではない」と前置きしたうえで、本作で描かれる人間とヒューマノイドの共生や、死者と生者の関係性について「人間が考えているほど、その境界ははっきりしたものではないのではないか」と語った。
さらに、ラストシーンで夫婦が見つめる森の存在にも言及し、「あの場所は、どこかで死後の世界ともつながっている」とコメント。森にはヒューマノイドだけでなく人間の子どもたちも残されており、「いろいろなものが一つになっている場所」と表現した。そして、子どもたちを送り出した夫婦は、自宅の庭に植えた木とともに生きていくことを選ぶが、「その庭の木の向こうに、死者の存在を見ていくという想像力の物語にしました」と作品に込めた思いを明かした。

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