登場人物の「感情から見た世界」を映像にする
─ 監督は本作について「雪が降り積もった朝のような、澄んだ儚い空気感」を感じながら映画にしたとコメントされていますが、それを具体的な映像にするとき、どんな部分から作っていったのでしょうか?
私は、人の視点や、感覚や感情から見た世界というものにとても興味があるんです。
今回は特に、「死神のアルバイト」という、現実には聞いたことがない仕事が出てきます。「佐倉くんの感情や目から見たら、この世界はどう見えるんだろう」「花森さんはどう感じているんだろう」と考えていきました。
例えば、佐倉くんには雨が止まって見えるんじゃないか。昔住んでいた家よりも、今の家がとてもすさんで見えるんじゃないか。久しぶりに食べる温かいカップラーメンが、とんでもないご馳走に感じるんじゃないか。そういう感覚が映像から匂い立つようにするにはどうすればいいのかを考えました。

お芝居だけではなく、スタッフの皆さんと「どういう色調にするのか」「どういうVFXにするのか」「衣裳はどうするのか」「美術はどうするのか」と話し合いながら、一緒に世界観やビジュアルを構築していきました。
まず私から「こういうことがしたいです」と皆さんに伝えて、「皆さんはどう思いますか?」と聞く。各部署のプロフェッショナルと、脚本の打ち合わせをするのと同じように、撮影、美術など各スタッフと、そしてチームとしてと話し合いながら作っていきました。